未経験プログラマー物語【第六章 リプレイス編④】減るメンバー

ようやく設計書の作成が終わり、いよいよ開発に入ることになった。設計書フェーズの遅れを開発フェーズで取り戻さなければ…。そう意気込んでいたタイミングで吉富さんが辞めることになった。

吉富さんは「家族が体調悪くて残業が多くて家に帰るのが遅いと困って申し訳ないけど…」と言っていた。しかし原因は哲矢PLであることは明らかだった。半灰は自分が何もできなかったことを悔やんだと同時にプロジェクトを離れることができる吉富さんを羨ましく思った。毎日終電までの残業、ギスギスしたチームと不機嫌なPL。今までいたプロジェクトで一番居心地が悪く大変だった。

 

開発フェーズに入っても終電で帰ることは変わりがなかった。作っては新たな要件が見つかり作り直しを繰り返し終わりが見えてこない。

この時期になると開発経験に少ない乙女さんが辛そうだった。コーディングができてレビューしてもらっても変数名の付け方からコードの書き方までほぼやり直すような状況だ。開発経験がほぼないので仕方がないのだけれど哲矢PLも乙女さんのコードに対してイライラしているようだった。乙女さんも完全に萎縮してしまい、哲矢PLを避けるようになっていった。案の定、乙女さんは仕事を休むようになってしまった。幸か不幸か、乙女さんが休んでも全体作業の進捗に影響はなかった。

こうして札幌にいるメンバーも6人から4人になってしまった。

 

解説


IT業界は鬱になる人が多いと言います。理由としては「無理な納期のプレッシャー」「一人で仕事を抱え込みやすく、周囲が状況を把握しづらい」などがあります。

一日中パソコンの前に座り、要件を満たすためによいコードを書こうと四苦八苦します。数時間考えて数行しか書かないなんてこともざらにあります。しかし納期が迫っていると納品物がないといけないため考慮する時間を削ることになります。すると品質の悪いシステムになり、修正に時間がかかりと負のスパイラルに落ちます。こういう状況に陥りながらも納期を守らなければいけないのはかなりプレッシャーになります。

さらに席の隣の人が今どんな作業をしているのかほぼわかりません。こんな作業を振られているからコーディングしているんだろうなとは知っていてもじゃあどの辺をどんな風にコーディングしているか把握するのは難しいです。周りに相談できないような環境だとどんどん追い込まれていき、最後は鬱になってしまう…ということになります。

ストレスが溜まりすぎると仕事をするのも難しい身体になってしまうこともあるため、時には逃げることも大切です。本来であれば上司などに相談してプロジェクトを改善するのが望ましいですがこのプロジェクトは難しそうですね…。


 

つづく

 

プログラマ物語目次

 

soon
  • soon
  • 1986年生まれのjavaプログラマー。28歳の時に7年働いた販売士からプログラマーに転職をする。常駐先を転々としながら日々生きています。